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妊婦が蕎麦を食べるとアレルギーになる? その真相は…

2016.11.17

妊婦が蕎麦を食べるとお腹の赤ちゃんに悪影響がある。赤ちゃんが蕎麦アレルギーになる…

そんな”定説”を聞いて、蕎麦などを避けていたりはしませんか?

本当に、妊婦さんの食べるもののせいで、赤ちゃんがアレルギーになる可能性はあるのでしょうか?

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”妊婦が蕎麦を食べると赤ちゃんが…” これって本当?

妊娠すると、とにかくそれまでの生活が激変し、出来ること・出来ないことが出てきます。

アルコール、喫煙は勿論、お腹を冷やすこと・重いものを持つこと・激しい運動をすること・市販薬や今まで飲んでいた薬を無闇に飲んではいけないこと…と挙げればキリがありません!

それもこれも、全てお腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼさないためですから、神経質になってしまうのも、ある程度は仕方がないことと言えるでしょう。
 

そうした妊娠に関する”定説”の中、妊婦さんと食事に関する話が数多く存在します。

ただ、中にはいわゆる”俗説・迷信”――科学的根拠がない、デマであるものも少なくありません。

例えば、妊娠が判明した後に「栗の実のように、一つの殻の中に二つの実が入っているものを食べると双子になる」というもの。
これは、現代の医療・生物科学の面からしてみれば、全くのナンセンスな話です。

双子になるのは、一卵性か二卵性かによって仕組みは異なりますが、少なくとも妊娠が判明する前に、既に双子になることが確定します。

また性別に関しても同じことが言え、受精の際に、卵子に受精した精子がどちらの因子を持っていたかで決まります。

何かを食べたから○○になった!ということはありえません。
 

では、そのような妊娠中の食事についての定説(蕎麦等のアレルギー源となり得るものを食べると流産する・赤ちゃんがアレルギーになる、等)は、どの程度正しいのか見ていきましょう。
 

何故、妊婦は蕎麦を食べてはいけないと言われるの?

まず一般的に言ってしまえば、”特定の人”を除き「妊婦は蕎麦を食べないほうが良い」と言われていることに関しては、間違いです。

こう言うと、食べられない条件には何があるの?と気になるでしょうが、それは”妊婦自身が蕎麦アレルギーを持っている場合”です。
 

蕎麦に限らず、特定のアレルギーを持つ人が、アレルギー反応を起こすもの(アレルゲン)と接触してしまうと、体は拒絶反応を起こします。これがアレルギー反応です。

特に食物アレルギーに関して言えば、摂取後に、口の周りが痒くなる・舌や口の中がピリピリとする、湿疹・蕁麻疹が出る、呼吸がしづらくなる…と症状は、アレルゲンの種類と、その人のアレルギーの強さに因ります。

中でも一番ひどい症状は、文字通り全身に劇症なアレルギー症状が出て生命の危険がある”アナフィラキシーショック”ですが、これは特に注意すべき症状です。
 

特に蕎麦が取り沙汰されているのが、そのアレルギー症状が強く出やすい、つまりアナフィラキシーショックが起きやすい食品であることが原因かと思われますが、今まで蕎麦アレルギーを持っていなかった人ならば、それほど気にする必要はありません。
 

逆を言えば、もし自分が特定の食品に対して、多少なりともアレルギーを持っているのだとしたら、その食品の摂取は、妊娠中は避けなければなりません。
 

アレルギーがないのなら、蕎麦は妊婦にとてもいい食材

実際、蕎麦は妊婦さんにとって、とても体にいい食材です。

妊娠中、多くの人が悩むことになる体重の増加、便秘、高血圧、血糖値、尿糖――といった問題を解決する手助けとなる食品の一つだと言っても過言ではありません。
 

それは何故かというと、他の炭水化物――米や小麦が原料の食品に比べ、蕎麦が”低GI食品”であることが挙げられます。

低GI食品について、何となく名前だけは知っている、という人も多いでしょうが、簡単に言うと”ゆっくりと消化され、食後の血糖値が急激に上がりにくい食品”を指します。
 

実は妊婦さんは、非妊娠時と異なり、妊娠の継続のために分泌されているホルモンの働きにより、血糖値が上がりやすい体質になっています。

そのため”妊娠糖尿病”という疾患を発症する人も、妊婦さんのうち1割ほどがいるほどです。

低GI食品の蕎麦であれば、食後の急激な血糖値の上昇が抑えられ、妊娠糖尿病の発症や悪化を防げます。
 

また妊婦特有の疾患として注意が必要な、(以前は妊娠中毒症と呼ばれていた)”妊娠高血圧症候群”にも、蕎麦は大変有効です。

蕎麦に含まれるルチンという成分は、上記の血糖値の上昇を防ぐ効果と共に、血圧を下げる効果も持っているのです。
 

加えて、鉄分・食物繊維が豊富でビタミンB1・B2なども豊富に含まれているので、貧血やお通じに悩むことの多い妊婦にとっては、まさに適した食物なのです。
 

ただし、妊婦のアレルギーは重症化する面も持っている

しかし、ここで大きな注意点があります。

妊婦さんの場合は特に、「私はアレルギーを何も持っていないから、何でも好きなだけ食べられる!」とは思ってはいけません。
 

そもそも、何故アレルギーが起きるのかを平たく言うと、”体の中の免疫機能が、その物質を敵だと誤認する”ためです。

実際には体に無害、もしくは有効なものでも、敵だと判断した場合、体から追い出そうと攻撃を始めます。

その攻撃が、アレルギー反応として現れる様々な不調です。
 

問題は、このアレルギーがいつ発症するか、どれだけの量を食べた時に発症するのか、完全に個人差であるために線引が出来ないことです。

そして、妊婦さんは、お腹の中の赤ちゃんを異物として認識しないように、あえて免疫機能が低下した状態になっています。

加えて、妊娠中は大きくなってくる子宮に押され、胃・腸の消化機能が低下します。

更にホルモンバランスが通常とは全く違う状態であるため、体調をすぐに崩しやすいことも問題です。
 

これらのことが合わさるため、

  • 今までアレルギー反応が起きていなかったものに対してアレルギーを発症する可能性が通常より高くなる
  • 軽度のアレルギーしかなかったはずが重症化する
  • 気管支喘息・アトピー性皮膚炎を発症・発作・症状が出やすくなる

…といったことが起きるのです。
 

現在アレルギーでないならば、神経質になるべきではない

だからといって、現在アレルギーが出ていないのにも関わらず、食物アレルギーを起こす可能性があるからと、そうした食品を食べない(除去する)ことは、逆に体内に入る栄養素の欠乏を招き、赤ちゃんにとって悪影響を及ぼします。

現にアメリカでは、蕎麦と同じく激しい反応(アナフィラキシーショック)を起こす可能性の高いピーナッツのみ、妊娠中に除去するように勧めていますが、それ以外の食品に関しては、特に除去を勧めていません。
 

日本においても、アレルギーが出やすい家系や妊婦に対しては、”妊娠8ヶ月以降にアレルゲン食品の偏った過剰摂取”を避けるよう、指導が行われていますが、それ以外について除去を勧めるなどは行っていません。
 

今回の例で言えば、妊婦さんの親や兄弟に蕎麦アレルギーを持つ人がいる場合には、例え自分にその傾向がなかったとしても、偏った過剰摂取――1日のうち2食、そして1回の食事で大量の蕎麦を食べることはすべきでない、と考えられている程度です。

自分の近親者に食品アレルギーを持っている人がいる場合には、その旨を主治医に伝え、先にアレルギー検査を行ったり、食事方法の指導をお願いした上で、それに従って除去をすべきだと言えます。
 

そしてこの例に当てはまらないならば、神経質になって、あれもこれもと除去した食事をすべきではありません。
 

母親のアレルギーがそのまま子供に遺伝する?

妊婦さんが一番気にしているであろう「両親のアレルギーが子供に遺伝するか」についてですが、必ずしも赤ちゃんにアレルギーがそのまま遺伝するわけではありません。

母親が蕎麦アレルギーだったとしても、必ず子供も蕎麦アレルギーになるとは限りません。
 

ただ”何かしらのアレルゲンに対し、アレルギーを発症する体質=アレルギー体質”は遺伝しやすく、母親のアレルギー体質は3割ほどの確率で遺伝するとされています。

(ちなみに、父親のアレルギー体質も遺伝する可能性はありますが、この割合よりも低いものです)
 

それでも、蕎麦に限らずその他の食品に関しても、妊娠中に妊婦が摂取した食品が元で、赤ちゃんがそうしたアレルギーを発症するわけではありません。

むしろ赤ちゃんや子供が発症するアレルギーは、家庭環境や食事内容に因る部分の方が強く、そうしたものも、胃腸や免疫能力が成長するうちに、アレルギー反応も抑えられていくことが非常に多いのです。
 

ですから妊娠中は

  • 自分が既にアレルギーを持っている食品は除去する
  • 近親者にアレルギーを持っている人がいる食品は、控えめにする
  • 妊婦のうちは多くの食品を、満遍なく・偏り無く摂ることを第一にする
  • 自分が何にアレルギーがあるか把握していない・不安な時は検査を受ける

と、こうした対応をし、問題がないのであれば気にしすぎないようにしましょう。
 

アレルゲンよりも摂取に注意したい食品もある

蕎麦、乳製品や卵、小麦といった、食物アレルギーの原因になり得る食品を除去する努力をするよりも、普段の食生活を豊かにし、様々な栄養素を満遍なく摂ることが、妊婦中の食事の基本になります。

勿論、そうした中でも妊婦は摂取量に十分注意しなければならない食品も、たしかに存在します。
 
例としては

  • 生の魚介類/火の通っていない肉(生牡蠣・生ハム・レアステーキ)
  • 水銀含有量が高い大型魚(キンメダイ・メカジキ)
  • カフェインを含んだ飲み物(コーヒー・緑茶・栄養ドリンク) …等

特に注意したいのが、非加熱の食品です。

生ハム、スモークサーモン、ものによってはチーズなどもそうですし、お刺身やお寿司もこれに含まれます。

こうしたものには菌が繁殖しやすいため、他の人は大丈夫でも、免疫力が弱まっている妊婦は避けたほうがいいでしょう。
 

妊娠中は、今までの食生活からの変更を余儀なくされることが多いため、イライラすることもあるでしょうし、逆に不安になることもあるでしょう。

定説や俗説を全て信じてしまうのも、しょうがないことです。

でも、怖がらなくていいものを、無理に怖がってしまってしまうのも、妊婦さんに多い”悪い癖”と言えます。
 

それは、赤ちゃんのことを思えば当然ですが、そうした不安がストレスになってしまうのも、大きな問題です。

でも怖がりすぎないで、お母さん自身が食事を楽しんで摂り、赤ちゃんに沢山の栄養を届けてあげられるようにしましょうね。

 - 妊娠に関する雑学